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アムステルダムには、古くから貿易で栄えた土地柄、異文化を尊重する風通しの良さとフラットさがあります。街にはあらゆる肌色の人たちが暮らしていて、不動産屋さんはポーランド女性、アパートのお隣さんはイギリス男性とフランス女性、洗濯機の修理屋さんはオランダ男性とロシア女性、子どもの遊びサークルにいけば、全員が違う肌色だったりします。
そんな土地柄、すべての文化が、分け隔てなく尊重されるべきだと多かれ少なかれ、誰もが思っています。あるいは、そう考え、振る舞うのがマナーだと。実際、私も家に帰って洗面台の鏡をみるまで、自分がアジア人であることを忘れていた日もありました。誰もが「相手が外国人である」という意識をまったく与えずに、オランダ語か英語で話しかけてくるのです。
「I amsterdam」という世界的に知られるキャッチコピーがあります。「アムステルダムに暮らす一人ひとりが、アムステルダムをアムステルダムたらしめている」というメッセージが込められていますが、すべての人が自由に人生を楽しみ、尊重されるべきという考えを愛しているのが、アムステルダムの街を愛し、暮らす人たちに共通しているように思います。
だから彼らのフラットさは、人種に限らずライフスタイルやセンスにも及びます。スカート姿の男性がいても、パンクファッションのおばあちゃんがいても、「ああいう人もいるよね」と気にも留めません。だからといって、無関心な冷たさはなく、成熟した大人の距離をもって見守る大らかさがあります。
世界中を旅してアムステルダムに落ち着いたという南アフリカ男性が「そんなときこそ、この街の自由さを再認識したり、この街に住む人間として誇らしく思ったりするんだ」と話してくれました。
「ねえ、アムステルダム、いい街でしょう?最高だよね」彼の屈託ない笑顔は、私の大好きなアムスっ子そのものです。
余談ですが、EU諸国で随一のワークシェアリング成功モデル国といわれるオランダ。成功の要因に、このフラットな国民性も無関係じゃないように思います。パートタイマーは7割を超え、部長がパートタイムで課長がフルタイムだったり、パートタイム大臣が登場したり。週休3日もパパの育児参加も当たり前。それぞれのプライベートを楽しむことが優先されるオランダでは、ライフスタイルに合わせたワークシェアリングがしっくり馴染むのかもしれません。
すっかり話がそれましたが、そんなあらゆる面のフラットさが(そういえば国土もフラット・笑)、いかにもアムスらしい自転車カルチャーもつくりました。「女王陛下も大臣も企業社長も、みんな同じように自転車に乗って、雨に濡れる」なんてよく言われるけれど、 通勤、通学、ショッピングもデートも、自転車。おしゃれなカフェや高級レストランに横付けするのも、恋人との待ち合わせも、高価な自動車より自分らしくカスタマイズした自転車のほうが、ずっとチャーミング、というのが彼らの美意識。アムスっ子をよりアムスっ子たらしめているのは、自由でフラットなバイクライフだなあと感じます。